日本のアートシーンには昔から、壁に出来たシミや影も落とさないほどの三日月の薄明かりに嫉妬し、その領域を戦いの場所にしてきた人たちがいます。私が仕事を重ねる中で強く惹きつけられたのも、そんな耳を澄まさなければ聞こえてこないような、幽けきものでした。
音楽や文学の世界が既にそうであるように、クラフトの世界にも、技術の高さやこだわりを誇ったり、これ見よがしに見せつけたりするばかりではなくて、直接的ではない方法だからこそ、伝えられることがあるのでは無いかと感じています。
「0.01」は、三日月の明るさが0.01ルクスだと言うことに着想したテキスタイルです。「目には見えない、写真にも映らない、けれどそこには確かにあって、理由は分らないけれど、誰かの心を動かす小さな要素になっている」そんな仕事を目指した布です。
©Caraso